おばあちゃんが、
買い物帰りにベンチで休んでいると、
ちょこちょこと近づいてくる小さな猫がいました。
立ち止まっては、また一歩。
様子をうかがいながら、
それでも、少しずつ距離を縮めてくる猫。
おばあちゃんは、
何も言わず、動かず、
ただそこに座ったまま。
逃げもしない。
触れもしない。
ただ、
同じ時間を過ごすように。
それが、
ふたりの出会いでした。
やがて、
暮らしの形が少しずつ変わり、
時間が前に進みます。
誰かが悪かったわけでもなく、
何かが足りなかったわけでもない。
ただ、
そういう時が来ただけ。
引き止めることも、
鳴くこともなく、
最後まで同じ時間を過ごして――
それが、
ふたりの選んだ
さよならでした。


